一線美術会理事
笠原久央 展


●11月26日〜12月4日
● 企画/ギャラリーかなやま

 

 一線美術会理事・審査員の笠原久央13回目の個展が開催された。今展は2010年の館林個展以来6年ぶりとなる。49点の出品。
 笠原といえば「白菜」となるくらいすっかり定着していた「白菜と宇宙の神秘」シリーズ。18年続いたと言う。それが2014年の一線展において文部科学大臣賞を受賞したことで拘りが薄れたらしい。面白いものだ。あれほどまでに拘った白菜の葉脈。そこに宇宙の造形美を見いだし、更には生命体の本質にまで迫ろうとしていた。受賞作「流・映・風・宙」にその結実を得たのであろうか。ともあれ一つの区切りを迎えた以降は自由に描く喜びを満喫していると言う。その実、今展にはいろいろの題材が登場し、なんとも楽しいではないか。生来の器用さも画面構成を随分明るくさせた要因だろう。DMに採用した「二重奏『春』」や掲載の「春舞」に見る背景のデザイン的な構築にその典型を見る。また画面中央に堂々と葉を開かせ、春の命を吹き込んだ花弁の伸びゆくさまが強烈に迫ってくる。ここには白菜の葉脈に通じる生命観が確実に宿っている。 (篠原)


 

春 舞  P20