前島隆宇小品展

 

■5月10日〜20日 ■銀座・高輪画廊


 

 帯状疱疹の苦しみに打ち勝っての前島隆宇小品展、実に4年ぶりの個展となる。描きたい思考、構想が先行する中、腕、指の痛みで筆を握ることさえ難しく、ましてや集中力の持続も困難、少しずつリハビリを兼ねて筆を執ったのであろう。
 20年以上追い続けているテーマ「天景」。生命細胞と宇宙律は相似関係であり、等質等価という哲学的宇宙観。細胞が死滅、再生する如く、宇宙も崩壊、誕生を繰り返す。その二極対比は正に光と影で、物質は光に還元され影を生成する。光、影のカケラとは瞬時の位相映像だ。そのイメージを可視化(絵画化)する。積まれた不安定なマテリアルの、削り取られた断面は深い密度を持ち、あたかも収縮を繰り返しているようにみえる。淡く掃かれたアイボリーは、間断の空間となってそれを孕みながら支える。均衡と不均衡がせめぎ合う造形がそこにある。そう、この作品群は作家の内宇宙の天地創造であるといえる。
 不安定な秩序を持った造形空間20余点、前島隆宇自身の再生を帰した充実の展覧となった。  (松)

 

「天景〈影の記憶〉」  F8

「天景〈影のカケラ〉」  F4