前島隆宇 小品展

 椅子シリーズを経て、もう15年以上《天景》シリーズを発表し続けている近代美術協会代表の前島隆宇氏の小品展。《天景》とは、人間・生命・存在という意識の展開から「宇宙の秩序」―列という認識に到った氏自身の哲学的空間を指すが、極小の微生物、分子配列と極大の宇宙とは同列であると考え、すべてに誕生、成長、破壊、滅亡のサイクルをイメージで捉え、形と色彩に還元する。氏の作品に宇宙を感じるのはある意味当然かもしれない。1957年、27歳の時の小品「しみのかげ」が、18点の《天景》に加えられていたが、そのコンセプトとなる意識、視点は共通していると氏は語る。そういえば《椅子》も時間軸を付加すれば、そこに座った数々の人をイメージできる。科学的・哲学的空間を絵画イメージに定着させる。理屈を抜いて見てもどこか懐かしさのする世界である。紹介の「祈り(時の比)」は茫洋と広がる世界の郷愁色に包まれており、独りぼっちの存在意識が画面から漂ってくる。また、曲線の美は日本刀の反りの形に収斂できるという「刀映」も興味あった。     (松)

   ■4月10日〜20日   ■銀座 高輪画廊
  「〈天景〉祈り(時の比)」84×17.5(90×30)木材2種