スペインの風土と人物に魅せられ、これまで幾度となくこの地を訪れてきた高橋重幸氏の新生展というべき個展である。 何がどう変わりつつあるのか。それは、架空の人物構成での絵づくりから、実際のデッサンを基にしたものへの展開へと制作姿勢を変換したことである。 これまでは、人間の転生・輪廻をテーマとした内面的な世界を、いわば想像人物の配置構成でみせていた訳だが、インパクトはあるが奥の深さの表現に何か物足りなさを感じていたのだろう。それがスペインへの旅で古びた壁に心動かされ、現世と黄泉の接点に夢を置いて人間の存在を問う壁シリーズに移行、所属の新世紀展で梅田賞を受賞する成果を得た。 が、やはり人物そのものは無機質で、人間の体臭の臭ってくるものとはなりえなかった。そこで彼は原点に還ろうと一大発起したのである。 二年前のスペイン行から徹底した人物デッサンをアカデミーに入って実践、昨年夏にはプラド美術館で初めての模写に挑戦したのである。 人を描くことはその人の生き様を表現することである。老人の顔に刻まれた生活の臭い、本物の人物を組み合わせることで物語を抽出するという世界を目指しつつあるといえよう。 今展にはその模写作品を中心に、それらの試行作品が多く出品される。
スペインの風土と人物に魅せられ、これまで幾度となくこの地を訪れてきた高橋重幸氏の新生展というべき個展である。
何がどう変わりつつあるのか。それは、架空の人物構成での絵づくりから、実際のデッサンを基にしたものへの展開へと制作姿勢を変換したことである。
これまでは、人間の転生・輪廻をテーマとした内面的な世界を、いわば想像人物の配置構成でみせていた訳だが、インパクトはあるが奥の深さの表現に何か物足りなさを感じていたのだろう。それがスペインへの旅で古びた壁に心動かされ、現世と黄泉の接点に夢を置いて人間の存在を問う壁シリーズに移行、所属の新世紀展で梅田賞を受賞する成果を得た。
が、やはり人物そのものは無機質で、人間の体臭の臭ってくるものとはなりえなかった。そこで彼は原点に還ろうと一大発起したのである。
二年前のスペイン行から徹底した人物デッサンをアカデミーに入って実践、昨年夏にはプラド美術館で初めての模写に挑戦したのである。
人を描くことはその人の生き様を表現することである。老人の顔に刻まれた生活の臭い、本物の人物を組み合わせることで物語を抽出するという世界を目指しつつあるといえよう。
今展にはその模写作品を中心に、それらの試行作品が多く出品される。